都会の刺激を求めて、月2、3回は早稲田で一日を過ごすことにしている。そこは、活気あふれる早稲田大学早稲田キャンパスである。
最初に向かったのは、8号館地下2階にある法学研究科学生読書室である。商事法務、法律時報、判例時報等々のロー・ジャーナルをチェックし、資料収集のうえコピー。そこは、院時代から学内で主に利用している、頼りになるところである。
<法学研究科学生読書室>
1951(昭和26)年12月
法学研究科創設と同時に7号館に開室され、その後9号館を経て2015(平成27)年10月法学研究科の8号館移転に伴い、現在は8号館にある。同室は、院生の授業支援や研究の拠点としての役割を帯びており、蔵書数は和書22,438冊(2020.12.15現在)を所蔵している(洋書は高田早苗記念研究図書館に移設)。
次に訪れたのは、正門横にある“成文堂”で、かれこれ20年近くお世話になっている書店である。訪れるたびに法律関係の新着本をチェックし、ついつい数冊求めてしまう。必要とする専門書が限りなくふんだんに揃っていて、要望を200パーセント満たしてくれる。
<成文堂>
1947(昭和22)年創業以来、社会科学分野の中で法律・経済の専門書を発刊している歴史のある出版社である。
対外的には、元早稲田大学総長西原春夫先生が設立された「日中刑事法研究会」の事務局を務め、また多くの専門書を中国の主要大学に寄贈し、日本の法律文化をアジアに広める活動もしている。
成文堂を後にして、中央図書館に向かう。中央図書館は大学の中心的存在であり、全分野に亘る多数の書籍が開架式で所蔵され、直に手に取ることができる。地下1、2階の研究書庫にはふんだんに専門書が所蔵され、例えば役員会でお話した金沢に関する資料も地元図書館に行かずして全て収集することができた。何とも心強い存在である。
<中央図書館>
年間入館者数100万人を誇る、わが国でも有数の大図書館である。
東京専門学校の図書室が設置される1882(明治15)年に始まり、1902(明治35)年東京専門学校が早稲田大学と名称変更し、大学の組織として整備が進められるなかで「図書室」から「早稲田大学図書館」としてスタートを切った。その後1991(平成3)年4月1日に、早稲田大学創立100周年記念事業の一環として、大学の学術情報の中核を担うべく中央図書館として開館した。施設規模27,705平方メートル、蔵書数は2,864千冊(2019年5月調査時点)を有する(中央図書館をはじめ学内の図書館を合計すると、日本の大学のなかで早稲田大学図書館は4位にランクされる(旺文社調べ:1位 東京9,475.7千冊、2位 京都7,126.3千冊、3位 日本5,704.1千冊、4位 早稲田5,647千冊))。
次に向かったのは、再び8号館5階にある法律文献情報センターである。ここは法律関係の各大学の紀要、専門雑誌が揃っていて重宝している。
<法律文献情報センター>
1994(平成6)年4月1日設立で、1995(平成7)年4月に「法学部教員図書室・比較法研究図書室」の名称を「法律文献情報センター」に名称変更して運用を開始した。法学関係の資料を精力的に収集し、所蔵数は101,200冊。
最後に向かったのは、高田早苗記念研究図書館である。ここの閲覧室では、各図書館で収集した資料を読み込むことにしている。
<高田早苗記念研究図書館>
1991(平成3)年4月1日キャンパス内にあった政治経済学部、法学部、商学部、教育学部、社会科学部の教員図書室および関連する研究図書室の図書を集約して新しい図書館を設置する構想が生まれた。こうして誕生した図書館は、小野梓先生の遺志を引き継いで早稲田の運営に力を注ぎ、学苑の初代学長、第三代総長をつとめられた高田早苗先生(1860-1938)を記念して「高田早苗記念研究図書館」と名づけられ、1994(平成6)年4月1日に早稲田キャンパスの社会科学系の研究図書館として開館した。先に述べたとおり、法学研究科学生読書室からの洋書も移設され、506,923冊が所蔵されている。
辺りは暗くなり、大隈講堂の鐘の音を聞きながら心満たされて家路を急ぐ。20年の間繰り返されている、早稲田キャンパスでの至福の一日であった。これはコロナ禍前の話であり、再流行が繰り返され、先が見通せない状況となっているが、再び早稲田での至福の一日を過ごせることを待ち望んでいる。
以上、会員のみなさまにはすでにご存じと思いましたが、日頃から利用している早稲田キャンパスの図書館、成文堂について紹介させていただいた。
(2020.12.22 嶋田良夫記)
(法学部8号館法学研究科学生読書室館)
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